初恋 - FictionJunction

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2013年8月12日(月) 初恋

twitterでこんな事を呟いていたんですが。

>Paul McCartneyは私の音楽的な意味での初恋だなあ。

>歌詞にハマって激読みしたのもBeatlesが初めだったし、
>歌詞のありようと言うか……
>そんな所もかなり影響受けているんだろうなと思います。

>他にハマったアーティストは多々あれ、Beatlesほど溺れた(笑)アーティストは
>他にいないなあ。歌詞約 200曲、2年かけて覚えたしw。そういう意味で私の中で
>別格なんですわ。当時まだ小学生だし、チャート追いかけるような知恵もない
>頃だったってのもある と思うけれど。

つぶやき足りなかったのでこちらでも書いてみる(笑)。

以前どこかで何かの際に言った気もするんですが、
「nowhere」という言葉にはBeatlesの歌詞で出会ったんですが、
この言葉に合った時に衝撃を受けたんだよね。

当時小学3〜4年生くらいだったのかなあ、まだ英語なんて欠片も習っていないころで、兄が買った「Beatles全訳詞集」という英語歌詞と対訳が載っている文庫本があって、それと辞書を使いながら何となく歌詞を追いかけ始めていたんですけれど、
Beatlesに「nowhere man」という名曲がありましてね。
まあそれがいい歌詞なんだけれど、それ以上に
「nowhere」という単語の存在が当時の私には衝撃だった。
どこにもない、という意味の単語があるなんて……。

それはこういう事でもあったと思う。
「nowhere man」→どこにもいない男
あれ、違う、何かがちょっと違う……。
辞書を調べれば同じ意味の筈なのに、何かが自分の中でしっくり来ない。
そうか、nowhere=どこにもない、ではないんだ、
nowhere≒どこにもない、なんだな。
「訳」というのはあくまで「解りやすい言葉に置き換えたもの」であって、
loveはloveであり愛ではない。愛は愛でありloveではない。
一つの言語の単語というのは、おそらくその民族の歴史をも含めて、
それだけ深い意味を持っているものなんだ。
言葉ってすごい。
当たり前の事なんだろうけれど、幼い私にとってそれは「発見」でした。
何だかもう無性に、感動した訳なんですよ。
英語は勿論、日本語の単語一言一言が、いっそう愛しく感じられるようになった。
そして、「nowhere」という意味あいの言葉が
一つの単語として存在する英語って一体……。

それから俄然Beatlesの歌詞に興味が滾りまして、
一曲一曲をカードに書き写して、通学のバスの中や休み時間や寝る前や、
何かにとりつかれたように片っ端から覚えた(笑)。そんな小学生時代でした。

英語は全く分からなかったけれど、当時ドイツにいたのでドイツ語は多少喋れたし、
アルファベットには慣れていたのはまだ幸いでした。あとは音源を聞きながら
「えっkindってこういう発音なのか!」(ドイツ語にも同じスペルの単語があるけれど意味も発音も全く違う)なんて驚いたりしながら。何だか懐かしい(笑)。

そう、私の歌詞にたびたび出てくる「nowhere」という言葉は、
完全にこの時の衝撃の影響を受けている訳です(^_^:)。

Beatlesに夢中になるまえにハマっていたオペラや歌曲を別として、
「ポップスの歌詞」なるものに始めて触れたのはBeatlesだったし、
その後2年ほどはこの人たちの歌詞ばかり追いかけていたので、
「歌詞ってこんなもの」的な意味での影響も随分受けていると思います。
ご存じの方も多いでしょうが、beatlesの歌詞ってかなり幅が広いんですよ。
主に初期の「彼女最高!」的なものから、中〜後期の幻想的なものとか。
そしてふいに、本当にシンプルな愛の歌に立ち返ったりもする。
色々な意味での「若さ」も存分に溢れている。
歌詞って何でもアリ、的な意味での影響は随分受けたと思う。
そして、行間に想像力の余地を残す事の意味合いも教えて貰った気がする。

Beatles、Wings時代のPaulのメロディーには、
今でも私のメロディーの理想だなあと思える曲が何曲もあります。
シンプルにして端的、つい口ずさみたくなるリアルポップス。
ある意味歌謡曲的ロック。明るいのに哀愁があり聞き飽きるという事が無い
無駄な作為や小技を感じさせない、メロディーofメロディー。
そしてソングライターならでは、
歌を聴かせるけれど押しつけない、メロディーを奏でる、
彼の歌は本当に、「上手い歌」とはこういうものだと思う。
……勿論、幼い頃に感じた「感動」が色々底上げしている部分もある。
でも構わないんです、音楽ってそういうもの(笑)。
問題は、いつ聞いてもいいな、素晴らしいな、と思える音楽が
胸沸き血がたぎり幸せになっちゃう音楽が
自分の中に存在してくれているという有り難さ。
出会えたタイミング、色々なものを含めて永遠に愛してる。
そんな忘れがたき初恋の話でした!


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  1. cardinal lotus より:

    「nowhere man」という単語は今の英語の教科書にもジョン・レノンのお話で載っていました。
    自分は昨年習いましたが、自分はFJYの"nowhere"という曲で初めて「どこにもない」という意味の単語なんだということを知りました。まさに梶浦さんが"nowhere"という単語を知ったのと同じ様な方法です。
    自分はこれを見て初めて、「どこにもいない男」という解釈を知りましたが、やはりしっくりきませんね^^;
    教科書のストーリー的にもそうは取れませんでした。
    単語は違えど、自分は梶浦さんの音楽から"consolation(慰め)"の意味を知りました。
    梶浦さん自身が体験したようなことを自分も体験出来たのはポール・マッカートニーのお蔭だったんですね。
    長々と書いてしまいすいませんでした。ではこれからも梶浦さんのつくるものを心待ちにしております!!

  2. 久遠 より:

    こんばんは(^o^)
    私も、様々な音楽から色々なものを知った気がします。
    日々新しい音楽に触れる度に、自分の中の世界が広がるのが楽しいです。
    勿論、梶浦さんの音楽からも、色とりどりの世界を感じております…♪
    私は現在進行形で梶浦さんの音楽に“恋”をしている一人です。

  3. らすかる より:

    梶浦さん こんばんは~^^
    梶浦さんはBeatlesさんのファンでございましたか。
    Beatlesさんはすごく有名ですもんね。
    人を惹きつけて、感動させる力があったのですね^^
    「nowhere」というのは一つの単語だったのですね。
    私はLIVEかFJCイベントで梶浦さんが「nowhere」と発音された時、
    とてもびっくりしました。
    私はずっと「now here」と読むのだと思っていたのです。
    「今 ここ」→私は今ここに存在している、
    みたいな感じだと思っていました^^;
    MADLAXの世界観に合ってるな~と思ってました。
    「nowhere」にこのような深い意味があるとは。
    ずっと勘違いしていた自分が恥ずかしいです^^;
    梶浦さんのBeatlesさんに対する熱い思いを読ませていただいて、
    私も熱くなってきました(笑)
    私は梶浦さんの音楽に心揺さぶられます^^

  4. カネタタキ より:

    BeatlesのNowhere Man、実は梶浦さんの音楽に出会う32年も前に好きだったので、懐かしいです。
    あの冒頭の厚いコーラスが素敵ですね。
    個人的には、孤独な男に心配するなよと語りかけるような歌詞がまるで自分を慰めてくれているように感じていた頃が、自分の中二病の日々だったのかな、なんて今頃思い起こせて、ほろ苦い笑いがこみ上げてきます。
    感傷的になってしまい、ごめんなさい。
    暑い折、おからだに気を付けて、また素敵な音楽を私たちに届けてくださいね。

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